西新宿、新宿住友ビル。
このビルに僕は訪れることは殆どない。
でも今日はここに行くために来た。
よく、ビジネスを戦争になぞえる人がいる。
でも、本当だろうか。
仕事上では、どんなミスをやらかしても、99.9%命を取られることはない。
戦争は、本当に、「死ぬ」のだ。
「死」は、誰もが公平に、「いつか」訪れる。
でも、その「いつか」までを精一杯生きることが人生の醍醐味だ。
その醍醐味を味わえなかった、先人の労苦、それは一体どのようなものだったのだろうか。
今日僕は朝起きて、突然そんなことを想い、家族を連れてここに向かった。
展示品の一つ一つに胸を打たれる。
館内は、「兵士コーナー」、「戦後強制抑留コーナー」、「海外からの引揚げコーナー」の3つに分かれる。
「兵士コーナー」は、出征する兵士の蝋人形や軍服、日誌など、軍隊生活が実感できる資料が満載だ。
「戦後強制抑留コーナー」は、シベリアやモンゴルへの強制労働の生活関連の資料を展示している。
「海外からの引揚げコーナー」は、外地からの引揚げの労苦を綴った資料などが展示している。
ビルの1フロア、それも全てのスペースを使っていない割に、とても広く感じる。
というか、その当時を再現する効果的な写真やイラスト、解説文のパネル、遺留品など、非常に情報の密度が濃いのだ。
結局、僕らは2時間近くもかけて、くまなく展示品やパネル等の資料を見入った。
感じたこと、それは、想像を絶する労苦だ。
例えば、強制抑留では57万5千人もの方々が、過酷な強制労働に従事し、シベリアはもちろん、遠くモスクワやウクライナの方まで連れて行かれた方々もいたという。そして、約5万5千人もの方々が、戦争が終わった後に命を失った。
これらは、学校で、本で、歴史のお勉強として学んだことだ。
しかし、展示品や、そこでの生活を綴った手記などの、実際のモノを見ると、また違った想いが胸に迫る。
この方々は、絶望また絶望の日々のなかで、どういうふうに生きる希望を見出していたのだろうか。
ただただ、僕は呆然としながら、展示品やパネルを眺めるしか無かった。
特に、「あの」パネルにあった言葉を見て、僕は涙が滲んだ。
逆に生きる希望が湧いてくる
このような展示を見ると、見終わった後は何だか複雑な思いで一杯だったが、家に帰って改めて館内を思い出しつつパンフレット等を見ると、どういうわけか、逆に生きる、生きていく希望が湧いてきた。
何だろう、上手く言えないけど、その命がけの日々を過ごした方々の魂のようなものが、そうさせるのだろうか。
館内を出た後、上の階の展望室に向かった。
展示を見た後だからこそ、よりひとしお、この日本の繁栄は先人たちの艱難辛苦、そこからの賜だと改めて感じた。
生きる希望が湧いた、本当に、意義ある訪問だった。
<オマケ>
何と、本館のとなりでは、「ねるとんパーティー」をやっていたようだ。
戦争と平和、まさに対極的な構図だったな。
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