唐突だけど、昔いた職場(金融専門出版社)で、
「何で能戸君が事務なんかしているの?」
と言われたことがあった。
当時所属していた部署は超少人数で、仕事は、通信教育講座・フリーペーパー・メルマガ・イベント・セミナー教材・WEB・公益法人会計による決算など、何でもござれの状態で、基本毎日終電が普通だった。
その中で、「事務」も重要な仕事だった。
どうやら、その人は、
「事務という仕事は、何かを企画する仕事より格下だ。なんでそんな仕事をしているの?」
と言いたかったようだ。
全くバカげたヤツだと今でも思う。
事務作業のイージーミスほど致命的
何でこんなことを思い出したかというと今、この本を読んでいるから。
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僕の大好きな佐藤優さんの近著で、30万部のベストセラーだ。
あの「国家の罠」は衝撃を受けた本だったな。
佐藤さんはこの本の中で、
僕が若い連中を怒鳴ったのは基本的な事務作業ができていない時がほとんど。
だという。
例えば、その事務のミスの影響の例として、
答弁書のとじ方に間違いがあって、ホチキスで留める時に前後のページが入れ替わってしまったいた。そのためトンチンカンな答弁となり〜中略〜国会審議が中断。〜中略〜そうなったら当然秘書官のクビも飛ぶ。
ということがあったという。
その他、この本のなかには、電報を打ち忘れたためにソ連との外交戦争に発展したことも書いてあってさ。
この本に書いてあるとおり、まさに、
事務作業のイージーミスほど致命的
だ。
それくらい、事務というのは仕事の基本であって、重要なものだ。
事務は仕事への熱意のバロメーターにも
例えば新入社員に事務をやらせてみる。
例えば、コピー。
コピーをするときにズレて読めない部分があってもそのまま渡す人。
間のページがヌケていても気にしない人。
複数ページがあってコピーした場合、天地が互い違いになっていても気にしない人。
っていうか、それ以前にこれらミスがないか確認すべきだ。
こういう手合いは、デカい仕事でもマヌケなミスを起こす。
まさに、その事務の巧拙は、仕事への熱意のバロメーターになり得るわけだ。
でも、最近ではそういった新入社員がコピーをするのではなく、派遣社員の方がコピーをしたりするわけだよね。
こんな感じで、その人の仕事の技量どころか人間性も測れるというのにさ。
憂慮すべきは
プラス拍車をかけるのが、最近のマッキンゼー本に代表される、いわゆるエリート本のブームだ。
いわゆる海外のビジネススクールとかに憧れたりする連中だ。
これらのエリートさんな企業に勤める人たちは、基本的に良い人が多いので、僕は恨みは無い。
が、憂慮すべきは、こういった本を読んで勘違いする輩が多くなることなんだよね。
指先ひとつで、口先ひとつで、問題解決するキレイな頭脳労働者。フレーワーク云々で問題はすべて解決。
そして、ここ重要(これ、よくある書きぶり)、「事務や電話応対などの自分の力を発揮すること以外の仕事は、他の人にアウトソースすること」。
・・・全くバカげている。
それ、仕事の最も基本、いわば肝だぜ。
そんな基本動作が出来ていない20代半ばぐらいまでのヤツがアウトソースしてどうすんだよw
新入社員が街に溢れるシーズン。
詰まるところ、昔から若者と僕のようなオヤジは互いに敬遠するものだけど、こんな本たちがベストセラーになる今の日本に生きる若者は可哀想だね。
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