小説

小説「向こう側へ渡る、その境」第8回


第8回 1998年4月24日(金)22時08分

ここまでの登場人物
西田 勝頼(にしだ かつより):
主人公。東証第二部上場工作機械メーカー法人営業第三部平社員。30歳、城南大文学部卒。
田中 信繁(たなか のぶしげ):
西田の会社のかなり「デキる」同期で、法人営業第一部係長。30歳、早大商学部卒
小早川 麗子(こばやかわ れいこ):
西田の会社の個人営業部課長。男女雇用機会均等法一期生で実質的創業者小早川春吉の孫。
四菱銀行に勤務するも春吉翁から将来の役員含みで呼び寄せられる。34歳、一橋大経済学部卒。
能戸 淳(のと じゅん):
渋谷のバーで知り合ったベンチャー企業勤務のサラリーマン。
北海道出身、25歳、慶大商学部卒。

そうなんだ、ついこの間の新人歓迎会の後、俺はレイコ課長と渋谷のバーでサシで飲んだんだ。

レイコ課長が常連だという、その会員制のバーは薄給の俺にはとても手が出そうもないオーセンティックな雰囲気で、ただただ俺は圧倒された。
ウイスキーと言えば、「角」か「ダルマ」しか知らない俺に、レイコ課長はマッカラン

をソーダ割りで注文してくれた。

あまり覚えていないが、レイコ課長は仕事論的な話を熱心に俺にしてくれていた。
しかし、普段はキレキレの仕事っぷりのレイコ課長とは真逆で静かな雰囲気に、俺は
エロティックな妄想をする始末だったわけで・・・。

そして、カウンターの横顔を見て、
「この人、こんなにキレイだったんだ・・・」
と思っているうちに、酔いが回ってレイコ課長の腰に手を回して引っ叩かれた直後、それは起こった。

「うぇーい、こご、さげをまじでのまじでぐれるんだよねぇ??」
超大声で何やら喚きながら、泥酔したクズが店の中に入ってきた。
年の頃は・・・20歳前後か、小柄でスーツを着ているのでひょっとすると20代半ばのサラリーマンかも知れない。

そして俺たちを指して、
「えへへへ、ええですなー、カップルでこんな高ーいバーで飲めるってよー、うひょー、これからアレですな、アレ・・・えへ・・・」
と言った瞬間、マスターがそのクズの胸ぐらを掴んで強引に外に放り出した。
「いでーな、何すんだよーーー」

レイコ課長はどういうわけか、その泥酔したクズが心配になって介抱している。

・・・能戸という名前のそのクズと、俺が長い付き合いになるとは思ってもみなかった。

(第9回に続く)

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でheavenjunをフォローしよう!


能戸 淳

投稿者の記事一覧

北海道出身、金融界周辺に漂い十数年、
ですがその匂いが全く感じられないといわれます。
金融絡みの内容は書きません。中身はアラフォー関連のライフスタイル中心です。
なるべく楽しいエントリで埋め尽くしたいのですが、人間ですので辛口になることが多々あります。ご容赦をw

関連記事

  1. 小説「向こう側へ渡る、その境」第7回
  2. 小説「向こう側へ渡る、その境」第6回
  3. 小説「向こう側へ渡る、その境」第12回
  4. 小説「向こう側へ渡る、その境」第4回
  5. 小説「向こう側へ渡る、その境」第1回
  6. 小説「向こう側へ渡る、その境」第2回
  7. 小説「向こう側へ渡る、その境」第3回
  8. 小説「向こう側へ渡る、その境」第11回

時系列別記事リスト

Twitter でフォロー

投稿カレンダー

2017年11月
« 10月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

1,596人の購読者に加わりましょう

カテゴリー

アクセスカウンター

  • 395759総閲覧数:
  • 245今日の閲覧数:
  • 3041先週の閲覧数:
  • 7592月別閲覧数:
  • 0現在オンライン中の人数:

最新記事

フォトギャラリー

PHOTOHITOブログパーツ

PAGE TOP