第1回 1998年5月2日 12時30分
「もしもし、おはよう。ってもう、12時半じゃん。これじゃ『こんばんは』だよねー。それも違う?アホだね、俺ってハハハハ・・・」
我ながら、この掴みは好評だと自負している。
たったこれだけのフレーズをよどみなく話せるようになったのは、ここ1ヶ月ばかりのこと。
それまでは顔も見えない相手なのに、赤面して、声も出なかった。
でも、掴みは掴み、会話はこれからなのだ。
そして会話のその先に見え隠れするもの、それに向けた駆け引きを俺は楽しむ。
これまで百人とつながって、まともな会話までもっていけたのは20人程度。
大概は相手に一方的に切られるのがオチ。
その20人のうち逢えるのは1人。まさに4%の確率だ。
せっかく逢えたところで、出てくるのは俺の好きな知的でおしとやかな大和撫子タイプの娘とは天と地ほどかけ離れたアバズレばかりだ。
そんな女でもがっかりすることはない。
実際に逢って話すと結構な即席恋人気分になるものだ。
また次回、チャレンジする意欲をかきたてられる。
居酒屋で適当に1時間ぐらい世話話をして、デキないかの話まで持っていく。
ダメなら、さよなら。
弁解するわけじゃないが、もともと好きでツーショットダイヤルにはまっているわけじゃない。
これは「取材」なのだ。
(第2回につづく)
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